[第8回] スーパーモタードにおけるホイールを考える。

今回は全日本選手権の谷間(夏休み?)ということもあり、スーパーモタードにおけるホイールの役割やキャストホイールのメリットなどについて、opb自身が実際に使用している観点からあらためて語ってもらいました。

■スーパーモタードに適したホイールとは?  by opb

さて今回は、ホイールに関してです。
今更かよ!・・・って言わないでください(笑
スーパーモタード・・・日本のMOTO1(全日本選手権)では競技規則(レギュレーション)によって、ホイールサイズ(径)は「16〜17インチに限る」と規定されていますので、オフロード車両がベースの場合は、レースで使用する際には必ず変更しなければならない部分なのです。
それに、街乗りの際でもスーパーモタードと言えばまずは“ホイール”でしょう。
モタードに使われるホイールは、一般的には大別してスポークホイールとキャストホイールの2種類です。
何故2種類あるかと言えば、それぞれにメリット、デメリットがあるからです。
では各ホイールのメリット、デメリットとは何かを今回は最も多く使われているであろうスポークホイールとマルケジーニのキャストホイール(M10S MOTARD)とを比較してみたいと思います。

メリットとデメリット

スポークホイール
(ノーマルハブを使用して組んだ場合)
 キャストホイール
(マルケジーニ)
 メリット
  1. 安価である(ローコスト)

  2. オフセット量(タイヤセンター位置)の変更がある程度可能(スポークの張りの調整によって・・・)

  3. 対衝撃吸収性に優れる(変形復元率が大きい)・・・スポークの「たわみ」によって衝撃を吸収しやすい。
  1. 製品精度が高いためバランス率が良い

  2. 重量が軽い(チューブを使用しないために特にリム部=外周部分が軽くなる)

  3. 剛性が高い(舗装路面での切り返し性能に優れ、特に高速コーナー時の安心感が高い)

  4. タイヤ交換、パンク修理に手間がかからない(チューブレス仕様のため)

  5. リアホイールはハブダンパー付きなのに軽量(KTM純正とかは凄く重いですよ)
 デメリット
  1. スポークの張り具合を頻繁にチェックしなければならない。(ベストコンディションを保つためには整備技術が要求されると同時に頻繁な点検・調整は欠かすことができない。)

  2. ホイール重量がキャストに比べ重い(チューブを使用している場合は特に)

  3. バランス率が悪い(バランスウェイトが多く必用)

  4. タイヤ交換及びパンク修理に手間が掛かる(チューブを使用している場合は特に)
  1. スポークホイールに比べ高価

  2. 剛性が高いが故に変形復元率に劣る(ものすごく強い衝撃時には戻らなくて変形する)

こうして挙げてみると、スポークホイールとキャストホイールのメリットとデメリットがほぼ逆という結果になりました。
では、特に気になる要素について比較してみましょう。

(1)まずある意味最も気になる「価格」について・・・ですね。
HONDA CRF450R用でリムサイズはフロントMT3.50×17とリアMT4.50×17を基準に比較します。
【注意】私が実際に使用しているリアホイールサイズはMT5.00-17です。
CRF450Rにこのリムサイズを装着するためには、ホイールのオフセットとチェーンラインの変更を行います。
競技に使用しない限り通常はこのリムサイズは必要ではありませんが、装着を検討される場合には遠慮なく相談してください。
マルケジーニM10S MOTARDの前後セット価格は225,750円(税込)
*これで完全ボルトオン装着ができます。ディスクローター、スプロケットなどは純正部品をそのまま使用します。
これに対するスポークホイールですが、コチラはノーマルハブ仕様+組み込み工賃等の合計で、概算となりますが約15万円程度(純正ハブ+17インチリム+スポークキット+組立工賃)となります。
で、内容(比較する条件)をさらに近づけるために「チューブレスキット」を加えると工賃込みでプラス3〜4万円弱必要となり、両者の差額はおおよそ3〜4万円になります。
おっ!、以外と価格差は少ないですね。(性能差は意外と大きいですよ。)

(2)次は「バランス率」についてです。
スーパーモタードでもホイールバランスはけっこう重要ですよ。
みなさんバランスはちゃんと取っていますか?
直線でそんなに振られなくても、コーナーに入った瞬間に振られる(チャタる)場合、バランスが取れてない場合が多いです。
ええ、私も悩んだんですよ、サスが悪いんじゃないかって、そうしたらバランスが取れていないだけでした。
で、このバランスウェイトを貼り付ける量なのですが、(使用するタイヤにもよりますが)マルケジーニのキャストホイールの方が絶対的に少なくて済みます。(つまり製品精度に優れています。)

(3) 「対衝撃性」についてはどうでしょうか?
これは、スーパーモタードにおいては、ある意味一番難しい問題だと思います。
一般的なイメージではスポークホイールはしなやかで、キャストホイールは剛性が高い。
つまりキャストホイールの場合は剛性が高いが故にダート(凸凹路面)区間において路面のギャップからの衝撃を吸収できるのか? 走行上のデメリットが大きいのではないかと・・・使用する前は私自身も正直不安はありました。
でも、モタードのコース設定自体はモトクロスコースのような大きなジャンプがあったり、真っ直ぐ走ることもままならないような連続するギャップも基本的には存在しません。(本格的なモトクロスコースのようなコンディションであったとしたら、モタード仕様のバイクでは走行すること自体がとても適していません。=楽しくありません。)
つまりスーパーモタード用に設定されたコースを実際にキャストホイールで走ってみて、最初はギャップではじかれたりするのかと思えばそうでもないのです。
というか実は違いが分かりませんでした(笑・・・したがってオフ区間での性能的なハンディキャップは特にないと感じています。
それよりも、ロード部分の切り返しの速さや高速コーナー進入時の倒し込みのしやすさはスポークホイールよりも優れている物でした。
もしもこれが純粋なロード用キャストホイール(マルケジーニM10S MOTARDはリムの構造などがモタード専用に設計されています。)を装着していたらキャストホイールに対する評価が変わっていたかも知れません。
というかジャンプを飛んだらすぐにリムが曲がってしまう?・・・と感じています。
また、一般市販車両に装着されているキャストホイール(純正ホイール=基本的には舗装路を走行するためのもの)では、ホイール重量はスポークホイールと余り変わらないか逆に重いでしょう。(マルケジーニM10S MOTARDはモタード専用にリム部などをロード用に較べてより高剛性に仕上げて耐久性を高めていますが、鍛造という製法を採用しているため軽さというメリットも同時に獲得できるホイールなのです。)
そしてM10S MOTARDのリアホイールにはハブダンパーが設けられており、その設計内容についてもコンパクトで軽量にまとめられており、その辺はメリットが大きいと感じます。

(4) ハブダンパーとチューブレス仕様
その他のキャストホイール(M10S MOTARD)のメリットとして、リアホイールに装備されるハブダンパー機構とチューブレス仕様でタイヤを組み込んで使うことができるという点が挙げられます。
チューブって以外と重いんですよ。
前後で約1.25kgもあります。
コレが無くなることで、ホイール外周の重い物が無くなり、ジャイロ効果が減ってバイクは曲げやすくなります。
ほら、ロードレースでもジャイロ効果を嫌って、効きが同じならブレーキローターの直径が小さい物を使いますよね。
ロードレースほど高速ではありませんが、この違いは充分体感できる物です。
あと、タイヤ交換が楽ですね。(実際のレースにおいてはこのことが想像以上のメリットです。)
そして空気圧を低圧で乗っていても、パンクの危険性が小さくなるのが嬉しいです。
チューブで低圧だと、チューブがずれてしまいバルブ部分から切れてしまう可能性があります。
街乗りの人はパンクの恐怖、正確にはパンク修理の煩わしさから間違いなく解放されます。
チューブタイヤはガソリンスタンドで修理してもらえないことがほとんどですからね。
スポークホイールは、パワーが掛かったときのショックやバックトルクをスポーク自体の「たわみ」で穏やかな物としています。
M10S MOTARDでは、ダンパーシステムが独立して存在するため、その部分でたわみ量をコントロールできます。
これはもう、マルケジーニ社では今まで培ったノウハウがありますから、パワー、バックトルクのかかり方、非常に自然なフィールでコントロールすることが出来ます。
そしてもう一つ・・・スペアホイールを購入(2セット以上のホイールを持つ)された方は、マルケジーニのハブダンパーシステムには副産物的な便利さがあることに気付くはずです。
オフロードホイールは通常はハブにスプロケットが直付けなので、タイヤ&ホイールをスペアに入れ替える際には、同じ丁数のスプロケットを複数枚持っている(つまりすべてのホイールにスプロケットを取り付けておく)か、毎回付け替えなければなりません。
でも、ハブダンパー式ならハブダンパーユニット+スプロケットごと付け替えれば大丈夫です。
ええ、実際使うと本当に便利です。
これ、ロードレースじゃ当たり前なんですけど、オフロードばっかり乗ってきた人に見せるとたいてい感動しますね。
ええ、知らないだけなんですけどね、私もその一人でした(笑

(5)アメリカAMAスーパーモト事情
そういえば今年アメリカで行われたX−GAME見た方いらっしゃいますか?
スーパーモト(AMAでのスーパーモタードの呼び方)はジェフワードが優勝しました。
45才ですよ、この人(笑
で、年齢も凄いんですけどコースも凄いんです。
どう見てもスーパークロスですかっていうコースなんです。
で、このジェフワードが履いているホイールは、マルケジーニM10S MOTARDなんです。
そう、ジャンプが多いAMAのコースでも、使用に問題は無いのです。

(6) 最後に
ホイールを買うのは、はっきり言って結構良い値段しますので、躊躇したり少しでも安くと思うことも多いと思います。
私だってそうです。
でも、バイク乗りで特にスーパーモタードをやってらっしゃる方は、良い意味での差別化を図りたいと思っている方が多いと感じます。
M10S MOTARDは、そんな中にあって最上級のクオリティーと独自のメリットがあると感じています。
どうです、メリット、デメリットを比較して自分の使い方と合っている、又はそういったメリットを体験してみたい方は、思い切って使ってみませんか?
きっと、お友達にこう言われますよ
「かっこいい〜」って(笑
あ、大事なこと(?)を忘れてました、M10S MOTARDの方がスポークホイールと比較して「掃除」がしやすいです。


Writing by opb ( garage obp 大森裕記)


ホイールはこんな感じで送られてきます。(テスト用のため本国から届く箱に梱包されています。一般の製品は専用の2本箱で納品されるそうです。) 。

箱を開けるとホイールはこんな感じに梱包されています。

スポークホイール重量測定 フロントホイールAssy+チューブ(ローター、タイヤ無し)
合計4.5kg
*重量は必ず自分自身で測定して確認します。体重計を使って測定してもホイールAssyならば重量比較はできます。

スポークホイール重量測定 リアホイール Aassy+チューブ(ローター、スプロケ有り、タイヤ無し)
合計7.0kg

M10S MOTARD重量測定 フロントホイールAssy(ローター無し、タイヤ無し) 
合計3.8kg

M10S MOTARD重量測定 リアホイール Aassy(ローター、スプロケ有り、タイヤ無し)
合計6.5kg

スポークホイール・バランスウエイト・・・これは結構少ない方で25gついてます(多いときは50〜60gつきます)

M10S MOTARD・バランスウエイト・・・10g(だいたいこのぐらいですね、つまりタイヤのバランス量分のみです)

M10S MOTARD・・・ハブダンパー部、ホイール側です。ここにスプロケットホルダーが装着されます。

M10S MOTARD・・・スプロケットホルダーAssy〜6個のボスがホイール側ダンパーに挿入され、ダンパーラバーを介して駆動力が伝達されます。(この部品が分離構造のため、メンテナンス性でもメリットがあります。)

Fホイール&ブレーキです。(ベルリンガーはローター径がφ310と若干小さいため、M10Sと併用することによりジャイロ効果が少なく、倒し込み・旋回性がアップします)

ウチの店の映像です。狭いので一台ずつしか作業が出来ません(笑。
ここで溶接からエンジン、サスに至るまで何でもやります。

中から外に向かってガレージ内を見たところです。
   

次回MOTO1(第5戦)は9月10日に三重県鈴鹿市「スズカツインサーキット」にて開催!


MOTO1 Promotions Official Site
http://www.moto-1.jp/

Kuminee’s WEBSITE
http://9.pro.tok2.com/~angelr93/

スズカツインサーキット(開催サーキット)
http://www.twincircuit.co.jp/

チームアダチ(大会主催者)
http://www.teamadachi.com/

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